【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー】ゲーム業界は解体され、プレイヤーが作り手に ヨコオタロウ#10

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ゲーム業界はなくなる?
ヨコオさんは将来的にゲームの要素が生活に分散して溶け込むことで、現在のゲームという形はなくなると考えている。現に、SNSなどでいいねを集めるという行為にもゲーム的な要素が含まれていると言及している。
福山「ゲームというメディアについての未来予想はお話されていますが、業界についてはどのような変化があると考えていますか。」
ヨコオ様(以下、ヨコオと表記)「最終的にはゲーム業界は解体されると思っているんです。どちらかというと流通業に近い状態になると予測していて、いわゆるクリエイティブな業界ではなくて、今で言うとSNSとかクリエイティブを売買できるマーケットプレイスに近づいていくんじゃないかなと思ってます。」
─── インタビュー時にはSNS担当者のようにゲームの要素を組み込む仕事が生まれるということかも?と思いましたが、後の話を受け、主体が変化するという受け取り方が適切な気がしました。
プレイヤーがゲームを作るようになる
ヨコオ「ゲームを作るのはプレイヤーさんになると思っていて、いずれゲーム会社はゲームを作らなくなるんじゃないかなっていう気がする。そういうときにゲームを作りたいんですけどって言われても、『いや、ゲームはもう全部ユーザーが作るから』みたいな世界がくるんじゃないかと思っているんです。ただ、これまでいろいろ予想してるけど全然当たらないので、最初にお話しましたけど僕の事は信用しないでください。」
福山「そのお話で言うと、プレイヤーが自分の欲しいものをクリティカルに説明できないのではと思っています。現在のAIなどは基本的に言語を主な入力としていますが、その言語化を十分にできないというパターンはあり得るかなと思います。」
ヨコオ「そんなことはないんじゃないのっていうのが僕の答えですね。ユーザーさんが受け手だから、考えたくないから、創作したくないから作らないだろうという話をたまに聞くんですが、創作したくない人がいるからって創作することがビジネスになるとは限らないと思っています。」
ヨコオ「受け手側の人は、自分が満足するものを見れればそれで良いので、それを人間が作ったかってあんまり関係なくて、その正解をどうやって測るかの部分のセンサーがもっと繊細で正確性の高いものになれば作れるようになるんじゃないのっていう気はします。」
福山「入力が言語という前提でお話していましたが、別のセンサーやそもそもの入力精度とか手法の改善があれば問題ないと。」
ヨコオ「例えばですけど、福山さんが見ているものってほとんど日本語だと思うんです。英語の字幕がないものはあんまり見ていなくて、それってもう自明じゃないですか。だから福山さんには日本語のものを作ればいい。福山さんがこれまで見たもののログが残っていれば、それらのデータから考えれば自明ですよね。」
ヨコオ「そのログから特定の傾向と特定の未来を予測できるのであれば、おそらく福山さんが何も言わなくても設計できてしまうとおもうんですよね。例えば、アニメを沢山見ている人であれば実写ではなくアニメっぽいものを求めているだろうなとか。」
ヨコオ「ただ、平均値を出す仕組みだとずっと自分が見てきたものの再生産をするだけで、いずれ飽きるなっていうことは分かっていて、ある程度エラーや革新なりを入れなければいけない。」
ヨコオ「そのエラーや革新の部分にクリエイティビティが潜んでいるから人間が必要なんだよという話をする人がいるんですけれども、僕の中ではある程度揺らぎを持って、ある程度の部分でエラーを意図的に選べばどれかが当たる。どれが当たるかは正直言うとよく分からないところがあるんですけど、それは普通にエンタメビジネスでやっても同じなので。」
今回のお話をうけて
ゲームの要素が溶け込んでいるものは既に存在していて、広告ではパズルを素早く解ければ広告をスキップできるなど直接的に組み込まれたものもあります。
普段の生活においても面白さ、言ってしまえば快感を感じられる要素が多いことは良いよねという気持ちはあるので、そんな未来がくるのは面白そうだなと思います。
また、法律や権利を一旦無視して考えると、ヨコオさんが言うようにプレイヤー側で望むコンテンツを作り出すことは可能だと思います。「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」という言葉もあるように実現はできると思います。それが社会において広まるかは別の話ですが。
ゲーム業界に入ってゲームを作りたい!という人にとっては感想が割れそうなお話な気がしますが、ヨコオさんの未来予想はもう少し続きます。
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