【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー】ユーザーが言葉にできずとも、必要とするものが分かる? ヨコオタロウ#11

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個人に合わせたコンテンツが生成されるかも
ヨコオ様(以下、ヨコオと表記)「未来におけるコンテンツの自動生成についてですが、福山さんがこれまで見てきたものの中から予測して、次に好きになりそうなものを作るのっていうのはおそらくそれほど難しいことではないです。」
ヨコオ「例えば、これまで見てきたものの中から次にあなたが好きなものはこういうものですってサムネイルが並んでいるんだけど、その中身は実際には生成されていない。福山さんがこれをみたいなと思って選ぶと、他と比較してなぜそれを選んだかということから、自分では言語化できないけど必要としているものが分かってそれを生成できるようになるんじゃないかなと思います。」
ヨコオ「途中で見るのを止めると、ここで止めるということはこういうロジックで止めているから次はそうならないようにしよう、とトライアンドエラーで新しいものが出てくるんじゃないかなっていう気がします。人間のクリエイターがやっていることとほぼ同じことが、いずれはできるようになると思います。」
福山「ヨコオさんの予想した未来は望んだ娯楽が満ちている世界という感じがするんですが、言葉にするという機会を取り上げているような感覚が個人的にはします。仮にそうなっていくとしたらテクノロジーの発展に逆らうのは不可能だと思いますが、私個人の人間観的に面白くないなという気持ちはちょっとありますね。」
言語化の限界
ヨコオ「言葉っていうのは一見頭がいい、いろんなことを描写できるものに感じるんですけど、ごくごく表層的な意味の羅列でしかない。例えば後ろにある壁紙とか言葉で説明できないじゃないですか。」
─── インタビューさせていただいた場所にあった壁紙が無地ではなく柄付きだったのですが、黒地に明るめのグレーの流線が複数あってスパッタリングで吹き付けた色がのった壁紙だったような.....覚えていないのもありますが説明しづらい柄でした。これ読んでもイメージつかないですよね......
ヨコオ「それもやっぱり言葉の限界性を示しているし、例えば自分が好きな女の子の顔や形がどういうものであるかって言葉で示せるって言われても多分違うんですよね。」
ヨコオ「言語化は限界がある。言語化はそもそも意味の連続性を作ることしかできないから、その特定の状態を示すには向いていない。空が青いねとか、空の情報の本当にピンポイントしか示せないし、それを1ピクセルずつのカラーを示したら伝わるかっていうと伝わらないと考えると言語の限界があると思うんですよね。エンタメは言語だけが全てではないので、情報収集として今は言語に頼ってるんですけど、AIとかはそれ以外のものがもっとたくさん出てきて、そこから吸収するような未来がいっぱい出てくる気がしますね。」
─── 「ヨコオさん、情報学やりませんか。修士論文助けて下さい。」と言いたくなってしまうほどの理解と視点の鋭さがあり、現在の研究テーマと重なる部分もあったので、インタビュー中でありながら一瞬だけ脳内が研究のことで埋め尽くされてしまいました。
今回のお話をうけて
前回に引き続きヨコオさんの未来予想を教えていただきましたが、個人的には面白いけど面白くない未来だなと思いました。すいません......
そこで体験できるコンテンツはきっと質もある程度あって、人間が作るよりトライアンドエラーを高速で回すことができるので、自分に刺さるコンテンツが必ず存在するだろうなと思うのできっと面白いと思います。その実現のための入力として、言語で表せる情報は限られているので、あらゆる情報を吸収して入力できるものが存在するのであれば言語化できなくてもユーザーが望むコンテンツは作れるよね、というお話だと理解しました。
言語で伝えられる情報が曖昧であること、そこからくる解釈の多様さが面白いなと思っているので、そんな言葉を生み出す人間が言葉に対して頭を捻らなくなると面白くなくなりそうだなという理由です。
カメラが登場したときの写実主義の画家のように、既存の技術や考えを壊すようなものに直面した時の考え方に近いのかもしれませんね。
AIについてのお話は以下の記事で詳しく言及されています。
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