【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー】求められている能力、それは自分がやりたいことか ヨコオタロウ#12

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求められている能力とやりたいこと
前回、前々回はゲーム業界の未来予想について。では、仮にそのようになるとして今のゲーム業界的に求められている能力といったところと違いはあるのだろうか。
ヨコオ様(以下、ヨコオと表記)「ゲーム業界的に求められてる、って言っても、ゲーム業界って人間じゃないじゃないですか、ゲーム業界っていう集合の概念だから。」
ヨコオ「ゲーム業界が求めてるものってゲーム業界人が求めている、もっと言うと採用担当者が求めているのは何かという話だと思うんですけど、担当者はそれぞれ違う人なので求めているものは当然違うんですよね。」
ヨコオ「その人は何を欲しがっているかっていうのを感じ取って答えを出す能力、は求められてると思います。求められてるからといってそれができる人はそういない気もしますが。」
ヨコオ「だから、面接をしてかみ合わない回答をする事もありますよね。」
福山「実際にありますね。何を求めているかをつかみ取れなかったというところだと思いますが。」
ヨコオ「でもそれじゃあ福山さんは人の気持ちをつかみ取る人になりたいんですかっていう話で。」
ヨコオ「カウンセラーとか人の気持ちを把握することに全力投球するタイプの仕事であればそれは良いと思うんです。でも、そうでもないのに、相手の顔色をうかがうようなことをやるのは無理があります。」
ヨコオ「ゲーム業界で求められている能力があったとして、学生さんは本当にやりたいのかなっていう。やりたくないなら別に求められてたとしてもやらなくていいじゃんって思います。」
ヨコオ「ゲームが溶け込んでゲーム業界がなくなって、みんなゲームでは食っていけなくなるよ、クリエイターじゃなくなるよっていろんなところで言ってるんですけど、じゃあクリエイター辞めますって言うのであれば辞めればいいし、お金にならなくても作りたいんですっていう人がいれば作ればいいですし。それは自分が決める話であって年寄りが決める話ではない気がする。」
ヨコオ「未来に対して何か正解があるような幻想を、いろんな人が言うと思うんですけど、本質的な正解は自分の中にあるので、その自分の中を見つめることが大事な気がするなって思います。」
ヨコオ「ただ難しいな......そういうのも自分の中を見つめた結果がよく分からない暗闇が現れて、それを見たくないから他人に何か理由や解決方法を求めて、例えば箇条書きにするとかノウハウみたいなものをノートに書いて安心したいみたいな人によって違いますね。人間は分からないです。」
やりたいこと、考えが変わる人
ヨコオ「難しいなと思うのは、やりたいことにゴールが存在する場合はそれに向かっていけばいいんですけど、ゴールが変質するタイプの人もいると思うんですよ。ものすごい飽きっぽい人って、飽きっぽいことを理解すればもうちょっと幸せになる気がしますけど、要はゴールの設定って誰もができるわけではなくて、その設定しなければならないもの、やりたいことが何っていうことを探さなければならないという強迫観念みたいなものもあると思うんです。」
ヨコオ「特に就活になると『君は何がやりたいんだ』ってことを聞かれますから。何もないんですとか答えづらいじゃないですか、聞く側も受け入れづらいけど。特に何にもなくてふらふら考えてる、考えが変わるんですよっていう人も当然ながらいる気がするんですよね。」
ヨコオ「そういう人が就活をどうやって乗り切るかっていうと......本当のことを言ったら当然乗り切れないんだよな......嘘つかないといけない。そこはいろんなことを考えないといけないところだと思うんですけど、まぁ、面接の場で本当のことを言わなくて良い気がしますけどね。」
ヨコオ「なにか人生のゴール的な回答を求めている人が面接官にいるんであれば、エンタメとかサービス業なので用意してあげる、相手を見て答えを言うっていうのはそういうことな気がしますね。」
今回のお話をうけて
正直、今回のお話に対して何らかの回答や意見を出すということは難しいなと思いました。それこそ「本質的な正解は自分の中にある」ではないですが、今回のテーマに関心がある人に何を言ったとしても刺さらないだろうなと思っています。
その時点で具体的な言葉になっていなかったとしても、ふんわりとした答えは既にその人の中に存在していて、何となく違うなという感想にしかならないのではないかと思います。
かといって、求められていることに一定以上応えられないと、そもそものスタートラインに立てないということもあるでしょうし、どこまで自分を中心に置くかは状況にも影響されるでしょう。
今回は難しいということで締めさせてください。
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