【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー】みんな不安の中で生きている、就活もその一つでしかない ヨコオタロウ#13

【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー】みんな不安の中で生きている、就活もその一つでしかない ヨコオタロウ#13

【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー】みんな不安の中で生きている、就活もその一つでしかない ヨコオタロウ#13

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  1. 1老人の漁師とビジネスマンの寓話
  2. 2誰しもが不安、そして不安は続く
  3. 3今回のお話をうけて

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【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー 第3弾!】今から僕が話す話を基本的には信じないでほしい ヨコオタロウ#1のイメージ
【ゲームプロデューサーを目指す学生がクリエイターにインタビュー 第3弾!】今から僕が話す話を基本的には信じないでほしい ヨコオタロウ#1

老人の漁師とビジネスマンの寓話

福山「いろいろとお話を伺ってきましたが、本当はもっと学生にこんなことが言いたかったんだよ、といったものがあれば最後にお聞きできればなと思うんですが。」

ヨコオ様(以下、ヨコオと表記)「本当は何を言いたかった......特に言いたいことはあんまりないんですけど、好きな話があって、インタビュー記事とかで老人の漁師とビジネスマンの話って聞いたことありますか。」

福山「パッと思いあたりはしないです。」

ヨコオ「詳しく調べていないので、おぼろげな感じで言うんですけれども、老人の漁師が毎朝釣り船に乗って、昼には魚を釣って帰ってくる。午後は酔っぱらっているみたいな暮らしをしているところに、その魚がすごくお金になることに気付いたビジネスマンが来て、これを売りなよみたいな。」

ヨコオ「売ってどうするのっておじいさんが聞いたら、もっと良い船とか買えるし人を雇ってたくさんやれば会社ができるじゃんって。そんな会社を作ってどうすんの?って聞くと流通とか整備してどんどんそれで拡大して、毎朝こんな起きたりしなくていいし、苦労して釣に行かなくても好きなことができるよってビジネスマンは言うんです。」

ヨコオ「その好きなことができるようになって、じゃあ何をするのって言ったら、午前中好きなことしてあとは酒を飲んでれば良いって返されたけど今それだよ、みたいなそういうギャフンってオチなんです。」

─── 調べたところ、ハインリヒ・ベルというドイツの作家が書いた短編『生産性の低下に関する逸話(直訳)』をベースにいろいろな改変が出回っている話のようです。ショートショートぐらいのかなり短いお話で、どれも概要は大体同じです。

ヨコオ「結局この話って決して儲けることがダメだという話だと僕は思っていなくて。人によってあらゆる側面がいろんな事象の中にあって、どう捉えるかも人によって違うっていうことのすごく良い例だなっていうふうに思っています。必ずしもやってることに満足せよとは思わないですし、必ずしもやってることを疑えとも思わないんですけれども、いろんな答えがあるってこと自体を認知するのは意味があるなっていうふうにその昔話を聞いたときに思ったんですよね。」

誰しもが不安、そして不安は続く

ヨコオ「学生さんには就活とかって答えがあるように見えるものなんですけど、答えなんか基本的になくて、漂う木の葉みたいなもの。ただただ我々、僕も含めて学生さんも一緒に漂ってる人間で、それがどこに向かってるかも自信がない。自信があるように振舞ってる人いっぱいいるんですけれども、それはそうしないと不安だからだと僕は思ってて、みんな不安なんですよね。」

ヨコオ「就活もそうだし、年寄りが自分がやってきたことが正しいって言ってるのはやっぱり不安なんですよ。間違ってるって言われたくないから、自分が作ったものが売れたらいいなっていうのも、自分の思ったことが間違ってるって思われたくないからすごく不安がある。」

ヨコオみんな不安の中で折り合いをつけて生きてるっていうのは人間社会だなと思ってて、その不安っていつまでもなくならない。」

ヨコオ「例えば何かに所属して、不安なんか全然ないよって思いたいのはわかるんです。そういう鎧を着て『僕は不安じゃない、大丈夫だ』って感じる人とか結構いると思うんです。」

ヨコオ「結局それも不安の恐怖からなんとか逃げようとしていることだと思っていて。みんな不安だよってことは学生さんに言って良い気がします。」

ヨコオ「大人も君たちも、さらにその下の人たちも政治家もネットで露悪的なことを書いている人もみんな不安なんだろうなということはすごく思ってます。その不安さとどう付き合ってるかは人それぞれ違うけど、就活もその不安の中の一つに過ぎない。それが全ての不安じゃないし、これからも不安は無限に続いていくっていうふうに僕は思います。」

今回のお話をうけて

寓話に対するヨコオさんの感想は、まさに学問の意義の一つといえるようなものだと思っています。また、ここで読むことを通じてなるほどなと思うことは簡単でも、これを自身の考え方に組み込めるようになることは簡単ではないと感じています。

簡単ではないものの、建設的な対話において重要な前提とも言える考え方だとも思います。
人を知ろう、自分が理解できないと思った相手に考えてみよう、などこれまでのヨコオさんのお話の根本の一つな気がします。

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福山
ライター

福山

インターンとして執筆を行っている情報系の大学院生です。ゲーム業界への就職を目指す当事者として、業界に興味を持つ皆様のお役に立つ記事をお届けしていきたいと思います。 大学院ではカラーユニバーサルデザインやデザイン工程でのコミュニケーションについて研究しています。

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