【メタバースインタビュー】「なりたい自分で生きていく」ユーザー数トップクラスを誇る『REALITY World』の挑戦(REALITY 春山様)
2022年の現在、メタバース事業に可能性を感じて参入した多くの企業が「ユーザー集客」と「定着」に苦戦していると言われております。
多くの資金と工数をかけて生み出されたハイクオリティのメタバース空間であっても、ユーザーの獲得や定着が出来ず、無人のバーチャル空間が広がるのみになってしまった事例も少なからずあります。
REALITY株式会社が提供する『B to B to C』のサービスである『REALITY World』はその課題を解決し、メタバースの可能性を拡げ、新たな未来を創っていく道筋を示しています。今回は法人事業の責任者をされている春山様から、REALITYが描く未来についてお伺いしました。
REALITY株式会社 春山 一也 様
『REALITY World』はここが凄い!
- 多くのユーザー数を有するREALITYというプラットフォームの中に自社のワールドを展開できる
- REALITYはソーシャル機能が充実しているため、ユーザーにとっては、コミュニティや普段使いのSNSになってきている
- Z世代や女性にも愛される、唯一無二のユーザー属性を持つ
『なりたい自分で生きていく』REALITYというアプリ
ーーー本日はよろしくお願いいたします。
ーーー「ライブ配信」を行えるアプリケーションは数多くあれど、REALITYというアプリはかなり特徴的なコンテンツだと思います。
春山「そもそもREALITYというアプリなのですが、
「なりたい自分で生きていく」をコンセプトに、
SNS×アバターのアプリとして生まれました。」
ーーーアバターを使った配信が前提の配信アプリという意味では、確かにREALITYはほぼ唯一無二に近いように見えます。
春山「ありがとうございます。先ほど仰っていただいた通り、ライブ配信ができるアプリケーションは数多くあります。」
春山「ですがREALITYはその中でもチャット等の『ソーシャル機能』が充実していることと、『アバター』といういわば第二の自分ともいえるキャラクターを使っていることに特徴があるバーチャルライブ配信アプリです。」
ーーー確かに、REALITYを起動させると一番初めにアバターの設定に移ります。
ーーーそしてこれ、どのアバターもカッコ良かったり可愛かったりする。すごいクオリティとこだわりで作られていのが、素人目に見ても分かります。
春山「ありがとうございます。REALITYはグリーの子会社なので、元々ゲームを作ってきたクリエイターが多数いらっしゃいます。」
春山「REALITYというアプリは、『SNS』『アバター』『プラットフォーム』そして『コンテンツ』といった、グリーとして積み上げてきた要素が凝縮されていると思います。」
ーーーゲーム会社だからこそできるクリエティブと技術力に裏打ちされているアプリなのですね。
「壁」の向こうに広がるメタバース
ーーーそういった経緯もあるため、REALITYといえば、誰もが「ライブ配信アプリ」であるというイメージを持っていると思います。
ーーー「メタバース」という領域とは少し乖離があるように見えますが、メタバースという領域に進出したのは、どういうお考えなのでしょうか?
春山「メタバースも色々な定義があると思うんですけれど、REALITYのアプリの中にメタバースに必要な要素が多くあると考えたためです。」
春山「まず、REALITYはアバター機能がある。そして、(チャット機能などに代表される)SNSやコミュニティの機能があって、更に『常時接続』という要素もある。」
春山「ただ唯一、3Dの空間はなかった。REALITYはアバターこそ3Dなんですけど、『壁』を背景に配信する2Dの空間を使うことが多いです。」
春山「なので、逆に言えば、ライブ配信中にある『壁』を取っ払って奥行きを付けて、『空間』にしてしまえば、それはもうメタバースなのではないか?と思ったのがきっかけです。」
ーーーそう考えると、確かにREALITYというアプリでずっと積み重ねてきたこと自体が「プレ・メタバース」のように思えてきました。
春山「そうですね。REALITYはちょうど4周年なんですけれども、昨年ごろからメタバースという言葉がはやってきて、その前で言うとコロナ禍があって、REALITYというアプリ自体の需要が伸びていったという経緯もあったりしまして。」
春山「この流れの中で『VTuber配信アプリ』が『メタバース』にチャレンジしていくことで、ビジネスとしても大海原に漕ぎ出していけるのではないかと思いました。」
ーーー一方で、行っていることは、今までREALITY様が積み重ねてきたことと大きく変わらないように思えます。
春山「そうですね。私たちがやっていることは地続きで変わっていないんですけれども、自分たちのやっていることの定義を変えた。こうすることで、自分たちの意識も変わるし、実際グローバルに出してみたら、より多くのユーザーさんにご利用いただくことになりました。」
ーーーより多くのユーザーが集う場になったのですね。
REALITYが挑む「賑やかなメタバース」
ーーーREALITY様は、親会社のグリー様も含めて『to C』でご活躍されている企業様だと理解しております。
ーーー一方で、REALITY様は『企業タイアップでメタバースを構築』する、いわゆる『B to B to C』の展開をされているように見えます。
春山「そうですね。先般HIS様と共同で『HISトラベルワールド』を期間限定で公開させていただきました。」
ーーー期間中130万人という、非常に多くの方がご来場されたというリリースも拝見いたしました。
ーーー既にユーザーが付いているREALITYというプラットフォームの中でワールドを構築されたが故の来場者数なのかと存じます。
春山「ありがとうございます。実は私たち、元々は『To B』の世界、XR系のことをやっておりました。0から1にしていくような、すごく大規模のメタバース構築ですね。」
春山「ですが、状況が変わってきた。先ほど申し上げたようにREALITYというプラットフォームが伸びてきて、メタバースという言葉がバズワードになり、参入する企業が増えてきた。」
春山「なので、自社でいままでやってきた0から1にしていく大規模のものだけではなく、予算も工数も比較的少なめな、小〜 中規模のメタバースを作ることはできないか?ということで、REALITYを活用することにしたんです。 それがパッケージとして出来上がり『REALITY World』という商品名でやっております。」
ーーーですが、結果として『REALITY World』で成功事例が生まれました。
春山「これはそもそも『REALITY World』の強みのような話にもつながってくるのですが、『REALITY』はそもそも『To C』のプラットフォームなので、配信アプリとしての『REALITY』に慣れ親しんだユーザーさんが沢山いらっしゃる。これが強みになっております。」
春山「じゃあ、実際どれくらい居るのか?という話をすると、私たちが調べた限りではありますが、日本企業の中ではトップです。一方で、世界に目を向けても上位を争う、トップクラスのユーザー数を有しています。なので、私たちは法人向けに提供しているメタバース企業の中で、実はそれ相応の立ち位置に居るとは思っています。」
ーーー具体的な数字としてはいかがでしょうか?
春山「例えば、以前2カ月間限定で『お花見』のワールドをやった時の数字ですが…」
春山「2ヵ月で400万人の方にご来場いただけました」
ーーーものすごい数のユーザーさんがいらっしゃったんですね…。
春山「大変ありがたいです。一方でビジネスとして見たときに、数値としてはそこまで来ていると思っているので、ユーザー数の効果を体感してもらえるっていうのは、メタバースを検討されている企業様から見たときに、大きな強みになるのかなと思っています。」
春山「もう一つ、REALITYならではだと思った体験があるのでお伝えさせていただきます。」
春山「REALITYのユーザーはまず『メタバース に入っている』っていう自覚は一つもないと思うんです。私たちはビジネス用語としてメタバースと呼んでいるけれども、ユーザーさんはそうは思ってREALITYを使っていない。」
春山「じゃあ、どうしてREALITYを使っているのかというと、まず無料で音声が無限に喋れて、かわいいアバターがいくらでもカスタマイズできて楽しい。」
春山「さらに、触るとわかるんですけどすごく温かい方ばかりのコミュニティなんですよね、さらにコミュニティに対して、セキュリティもしっかりしてるし、マネジメントもいっぱいしている。だから、ユーザー同士の問題ってほとんどないんです。」
春山「そして、そこで何が起こってるかというと、みんな毎日数時間、中には1日10時間以上、毎日のようにREALITYを使っているユーザーさんもいるんですよ。」
春山「REALITYは日常使いのアプリ、コミュニケーションを取るSNSになってきてるんです。」
ーーー『メタバースを体感しに来ている』訳ではなく、メタバースが日常の一部になっているんですね。
春山「はい。ユーザーさんがそういう遊びをしてるけども、僕らがそれをメタバースって言っているだけなんです。」
ーーー賑やかで温かい光景が、目に浮かびます。
春山「さらにこの話を掘り下げると、ユーザーのエンゲージメントも非常に高くて、本当に10時間とか毎日やるユーザーさんがいらっしゃるくらいなんです。更に言うと、オフラインイベントを(2022年の8月に)始めたんです。バーチャルなのにオフラインイベントをするという、ほぼ世界唯一なんじゃないかと思うイベントをやったんです。そしたら、数百名来てもらったんですね、まず 数としてすごいんですけど……更に、その光景をREALITYのワールド上の映像配信やYouTubeで配信したら、視聴者が数万人も集まりました。」
ーーー数万人の視聴者と数百人のリアル参加者ですか……!!
春山「たくさんの方に集まっていただいて、本当にありがたかったです。一方で、これ(リアルイベント)ってメタバースの文脈の中では中々起こり得ない現象だと思っていて、メタバースっていうと『だんだんリアルなものがメタバースに移っていくよね』みたいな話がやっぱメインで語られることが多いと思うんですけど、REALITYの場合はそれとは反対に、バーチャルでできたつながりでリアルのイベントを開催したりということもできてしまっているんです。」
春山「なので、ユーザーさんにとっては、もうメタバースというより、やっぱりSNSというレベルにまでなってきていると思っています。更に、エンゲージメントも高い。」
春山「ビジネス目線での話をすると、ここのエンゲージメントを活かすことによって、先ほどのHISさんとの実績のように、たった1カ月で135万人来たりとか、1人当たり2回以上ワールドに訪問する人たちもすごく多かったりします。」
春山「他にも、一過性のイベントじゃなくて、さらに深い(企業とユーザーの)コミュニケーションを作ることも可能です。例えば、町にある企業の広告って数秒見たらいい方だと思うんですけど、REALITYでワールドを出せば、ずっとその企業の空間に居ることになる。それは、数ではちょっと測れないようなエンゲージメントの高さを生むと思うし、ただのプロモーション以上に効果が出るんじゃないかなと思っています。」
唯一無二のユーザー属性「Z世代」
春山「他の強みをお伝えすると、ユーザー層も特徴です。先ほど話した通り、REALITYは配信アプリとしての道のりとを歩んできました。なので、多分ほぼ唯一無二ぐらいのユーザー属性を持っています。それが何かと言えばZ世代が多い。」
春山「具体的には、20代前半までが多い。他のメタバースと比較したら、真反対です。他のメタバースは30代から50代がメインユーザーになっています。これがまず、REALITYのユーザー属性の一つ『年代』という特徴です。」
ーーー他にもあるのですか!
春山「はい。それは『性別』です。REALITYのユーザーは、半分以上が女性で占めています。これも同様に、他のメタバースとは真逆です。他のメタバースでは 高いものだと90~95%が男性なんです。」
春山「また、ユーザーの雰囲気もちょっと違う。先ほどリアルイベントの話をしましたが、若い世代が多いので、本当になんだか渋谷の交差点を見ているような感じです。全体的に若い世代が多いけれども、派手な人もいれば、普通の人もいる。だから『REALITYのユーザー』という一つのコミュニティを見てる感覚は全くなくて、渋谷や秋葉原の街中を見ている感じです。本当に一般の人たちがSNSとして利用してるだけっていうところまで来ているんだと思っています。」
春山「最後の強みとしては『ゲーム会社というバックボーン』これもメタバースのプレイヤーとしては珍しい。これは何か、細かい話ですけど、サービスを触っていて手触りがいいとか、エンターテイメント性とかデザインとか、そういうのは触ってみると多分違いがわかるところかなあと思ってます。」
春山「また、僕らは『プラットフォーマー』であるので、かなりの頻度で改修してます。私たちの隣の部署である「To C」の部門だけでも100名以上メンバーがいたりして、そこで毎日REALITYアプリのベースやコンテンツを開発をしているわけなんで、もうすごくアップデートしていきますし、成長が非常に速いし、機能が充実してきていると思ってます。」
メタバースを「誰かが幸せになるためのもの」に
ーーー最後に率直にお伺いしたいのですが、春山様は、REALITYという多くのユーザーさんが楽しんでいるプラットフォームを、今後どのように発展させていきたいとお考えですか?
春山「まず問題意識として、今メタバースって言葉が広がってきていて、各社がメタバースを目指してると思うんですね。ですが、結構ここ1年ぐらい経って見ているのは、(メタバースを事業として成り立たせることに)失敗しているケースも発生してきているように思えます。」
春山「私はただ世の中のメタバースが一つでもより良いものになればいいと思っていて、その時REALITYが、良いメタバースを作るプラットフォームの選択肢の一つになればいいなと思っています。」
春山「メタバースという言葉は、定義が難しいように思えます。そして、メタバースを銘打っていろんなサービスが出てきているのが今の状況だと思っています。」
春山「メタバースの言葉の定義が色々あるのと同様に、メタバースへの入り方も人それぞれだと思います。ゲームから入る人もいるし、NFTから入る人もいる。その中で、私たちグリーとREALITYは『SNS』っていう、ソーシャルコミュニティが強い会社なので、そこを活かしたメタバースを作り、ユーザーにSNSという切り口からメタバースを楽しんでいただきたい と思っています。私たちはその中の一つでいいんじゃないかと思っています。SNSという要素から登り詰めていくメタバース。」
春山「あとは、メタバースという可能性を、いろんな企業さんに広げてもらいたいなと思っている。最近だと、実は 企業だけでなく官公庁とも話すこともあるんです。」
春山「官公庁のご担当者様って、ビジネスという観点のメタバースよりも『市民の方々がより良い生活を送るためにメタバースを使えないか』という発想なんです。」
春山「僕もすごくそこに共感していて、メタバースっていう何か広い定義の中で、例えば自己発言ができる機会がすごく増えたりだとか、例えば、普段そんなに実生活では、自己表現できない方々も救われる未来があったりとか、そういう未来がメタバースで実現できると、多くの人が幸せになる可能性があるし、そんな幸せな未来にREALITYが貢献できたらいいなと思っています。」
ーーー本日はお忙しい中、お時間いただきありがとうございました。REALITY様が描く暖かくも賑やかなメタバースの今後が楽しみです。
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REALITY株式会社 XR cloud事業部 部長
グリー内製ゲームの開発運営プロデューサーを経て、横断的に10タイトル200名規模のゲーム運営事業部部⻑にて全社利益に貢献。
その後ウェブ・アプリ・エンタメのB2B2C事業部門を立ち上げたのち、現在のメタバース領域を中心とした事業部責任者として推進。