企業・自治体のメタバース参入への悩みを解決「オープンメタバースネットワーク」が発足

KDDI株式会社をはじめ、業界をリードする4社が結集し『オープンメタバースネットワーク』が設立されました。
企業や自治体のメタバース参入時の悩みを解決し、導入をサポートするネットワーク団体です。
この記事では、先日開催された発表会の様子を詳しくまとめました。
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- 1メタバースの導入をサポート 4社共同のネットワーク団体
- 1.1メタバースニーズの変化 |「ブーム」から「社会実装」へ
- 1.2業界の共通課題を解決すべく、ネットワーク団体を発足
- 2実施内容に合わせ、最適なプラットフォームを提案
- 3メタバースへの提言組織と連携し、事業参入を促進させる
- 4ショーケースイベント「Sakura Virtual Fes」を開催
- 5アライアンス企業の紹介
- 5.1株式会社STYLY|メタバースとリアル世界の融合を提案
- 5.2monoAI technology株式会社|ゲーム技術を応用することでハイクオリティな空間を提供
- 5.3REALITY XR cloud 株式会社|スマートフォンアプリ「REALITY」の運営
- 6「オープンメタバースネットワーク」に参画する理由
- 6.1クリエイター集団として、メタバース市場を広げたい(REALITY XR cloud株式会社)
- 6.2業界唯一の上場企業として、市場の盛り上がりをアピール(monoAI technology株式会社)
- 6.3日本の地域の魅力をXRで世界に発信(株式会社STYLY)
- 7「オープンメタバースネットワーク」で各社が構想する連携機能
- 7.1情報発信、コンテンツ制作を行える人口を増やす(株式会社STYLY)
- 7.2「REALITY」と連携し、リアルイベントを開催する(monoAI technology株式会社)
- 7.3苦手分野を補完することでイベントを盛り上げる(REALITY XR cloud株式会社)
- 8「オープンメタバースネットワーク」は、市場の発展が目的
- 9質疑応答
- 9.1「オープンメタバースネットワーク」への参画企業は増える予定
- 9.2通貨の導入は構想の後半部分
- 9.3空間を跨いでも気付かないような設計を構想中
- 9.4エンターテイメント領域以外へも展開が可能
- 10各種リンク
「オープンメタバースネットワーク」に参画する理由
舘林「今回参画いただいた3社に、どのような期待感を持って『オープンメタバースネットワーク』に参画いただいたのかについてお伺いします。」
クリエイター集団として、メタバース市場を広げたい(REALITY XR cloud株式会社)
春山「弊社の『REALITY』は、この2年間で100社以上の企業様とイベントソリューションを開催させていただき、多くの方にご来場をいただきました。」
春山「その結果、『REALITY』のユーザー数は増え、SNSとしてのエンゲージメントが高いことが強みになりました。」
春山「一方、私たちはクリエイターが集まる開発会社ですので、メタバース市場自体を広げていきたい想いがあります。」
春山「しかし『REALITY』の活動を通して、メタバースの扱い方がわからず、参入を難しく感じていらっしゃる事例を大変多く見てきました。」
春山「そのような際に『オープンメタバースネットワーク』に相談いただくことで、道筋を発見でき、改めて期待感を持つことができるかと思います。」
舘林「ありがとうございます。様々なイベントを行い、上手くいかなかった事例も多く見ているからこその想いですね。」
業界唯一の上場企業として、市場の盛り上がりをアピール(monoAI technology株式会社)
本城「弊社はメタバース業界唯一の上場企業になりますので、投資家の皆様から非常に注目をされる立場です。」
本城「そのため、日本のメタバース加盟企業が一丸となって『オープンメタバースネットワーク』を構築することで、投資家の皆さんに市場が活気づいていることをお伝えしたいと思っています。」
舘林「ありがとうございます。我々はライバルな一面もあるかと思いますが、参画する際に社内で揉めることはありませんでしたか?」
本城「全くそういったことはなかったです。むしろ各社とも持つ特徴が異なりますので、相互補完のために『ぜひやりたい』という意見に纏まりました。」
日本の地域の魅力をXRで世界に発信(株式会社STYLY)
山口「業界が一丸となることで、日本の魅力を世界に発信したいと考えています。」
山口「私たちは日本の各地域の人たちに、自身の魅力を自身で発信してもらうためのコンテンツ作成をサポートしています。」
山口「メタバースで場所を超え、地域の魅力を海外に発信したあと、実際に現地に訪れてもらいたいです。その際に、リアルな場所で再びメタバースのアプローチを用いることで、地域の魅力をさらに体験してもらいたいと考えています。」
舘林「コンテンツを実際に作られているのは、地域におけるどのような方なのでしょうか?」
山口「学生から企業の方まで様々です。地域の魅力を発信する際に、地域外の会社に外注をする形だと、現地にお金もノウハウも残らないので、中長期的な観点では活性化につながらないと我々は考えています。」
山口「そのため、まずはその地域の方自身が魅力を発信できるようになることを重視し、我々は活動をしております。」
舘林「ありがとうございます。インバウンドも含めたグローバル対応を行ってらっしゃるのですね。」
舘林「確かに、外側の箱(メタバース)だけを作って終わりにするよりも、箱の中で自主的にコンテンツを生みだせるライバーさんやクリエイターさんがいる環境を整えることが、メタバースが成功する条件になり得るかもしれないですね。」
「オープンメタバースネットワーク」で各社が構想する連携機能
舘林「多くの企業の方から様々な要望を耳にする中で、皆さまは『オープンメタバースネットワーク』に参画いただいたかと思いますが、具体的にはどのような連携をお考えでしょうか?」
情報発信、コンテンツ制作を行える人口を増やす(株式会社STYLY)
山口「中長期的にですが、『オープンメタバースネットワーク』の中にも、自分から情報発信やコンテンツの制作を行える人口を増やすことが、経済の発展に繋がると考えています。」
山口「そのために弊社の強みを活用してもらえるよう、連携を強化したいと思っています。」
「REALITY」と連携し、リアルイベントを開催する(monoAI technology株式会社)
本城「弊社はビジネス向けのイベントを多く手がけていますが、リアルでもイベントを同時開催する場合、『REALITY』のAR技術が非常に魅力的だと思っています。」
舘林「ARを用いたリアルでの連動企画の要望をいただくことがあるのでしょうか?」
本城「はい。最近はコロナの影響も収まり、リアルでのイベントのご相談が増えています。大きなリアルの会場を抑えることが難しいので、小規模な会場とメタバースを連動させて行いたいというご要望が増えています。」
舘林「私たちがバーチャル渋谷(VR)を始めたことも、コロナの影響によりイベントの拡張をARで行えなくなったことがきっかけでした。」
舘林「しかし最近はコロナの流行が収まってきたため、リアルの価値が再認識され、ARの需要が増えていると私たち(KDDI社)も感じています。」
苦手分野を補完することでイベントを盛り上げる(REALITY XR cloud株式会社)
春山「私たちのプラットフォームはSNSに近い形式であり、ユーザーの7割程がグローバルユーザーですので、バーチャルの魅力を口コミで世界に広げられることが強みです。」
春山「反対に、リアルとの連携やブラウザでの展開はそこまで得意ではありません。そのため、各社のプラットフォームと連携を行うことで苦手分野を相互補完し、イベントを盛り上げたいと考えています。」
舘林「仰る通り、『REALITY』はSNSや配信プラットフォームライクな使われ方が特徴的であるかと思います。」
舘林「『REALITY』は、どの国で特に盛り上がっているのでしょうか?」
春山「全世界でリリースしているのですが、勢いを見せているのがアメリカです。アメリカで日本のデザインが受け入れられるのかは難しいポイントだったのですが、結果として和製アバターはアメリカでも好評になりました。」
春山「また、アジア地域も全体的に好評です。日本のアニメが好きな国が多いため、広がりを見せています。海外での公式オフ会を開催することもあります。」
春山「日本のアバターやメタバースの根強い人気を実感するとともに、今後も市場は拡大すると考えています。」
舘林「ありがとうございます。国内IPやコンテンツのグローバル需要の高さが窺えますね。」
舘林「先ほど山口さんも仰っていたように、インバウンドで来られる方に予めメタバースで地域の魅力を知ってもらい、実際に現地に来てもらったときには、さらに楽しんでもらえるようなARの施策を行うことが、業界として伸びしろがあるように感じました。」
「オープンメタバースネットワーク」は、市場の発展が目的
舘林「『オープンメタバースネットワーク』は我々のプロダクトアウトではなく、企業や自治体の方々が、メタバースを使った展開にお悩みになるケースが多いことが発端になっています。」
舘林「メタバースの箱だけを作る時代から、企業や自治体の方にオウンドメディア化してもらうこと、ユーザーの方との継続的な接点になるプロダクトを作ることが重要な時代になっています。」
舘林「我々4社が持っている運営ノウハウをまとめて企業や自治体の方々に提供することで、メタバースを有効活用いただける方が増えると幸いです。」
舘林「業界の発展はその先にあると思いますので、まずはこの4社で業界をリードしていければと思っております。」
舘林「クロストークは以上です。ありがとうございました。」
質疑応答
「オープンメタバースネットワーク」への参画企業は増える予定
ーー現在の4社以外に、「オープンメタバースネットワーク」への参画はあり得るのでしょうか?
舘林「4社で協議をしながらではありますが、プラットフォームの役割や担う形は多様化すると思いますので、ご参加いただく会社は増やしていく方針です。」
舘林「私たち(KDDI社)は、昨年の3月と10月に行った『αU』の発表の中で、『オープンメタバース構想』を発表させていただきました。一つのメタバースで全てが完結するのでなく、それぞれの目的や特徴ごとにメタバースを使い分ける時代になる、という考え方です。」
舘林「その時代が来た時に、なるべくシームレスな体験を提供できるよう、ITやデータの連携を進めていきたいと考えています。まずは需要のあるデータの持ち渡しを4社で始め、徐々に実現していきたいと考えています。」
通貨の導入は構想の後半部分
ーー将来的には、通貨でもデータの連携や標準規格となるものをお考えなのでしょうか?
舘林「通貨に関しては各社の構想もあると思いますので、行うにしても後半の方になると思っております。」
空間を跨いでも気付かないような設計を構想中
ーー今回の「Sakura Virtual Fes」では、どのような相互連携が行われるのでしょうか?
舘林「『Sakura Virtual Fes 』では、ショーケースの第1弾として、リンクで往来ができます。」
舘林「また、同一のコンテンツを異なる形で、各プラットフォームごとに体験できる仕組みになっています。」
舘林「今後はさらにシームレスなプラットフォームの移動を強化していく予定です。空間を跨いでいることにユーザーさんが気付かないような仕組みづくりを、4社で模索していきます。」
エンターテイメント領域以外へも展開が可能
ーー今回の「オープンメタバースネットワーク」の取り組みでは、「Sakura Virtual Fes 」も含め、エンターテインメント領域への展開が多い印象でした。
ーーエンターテイメント領域以外への展開、例えばインダストリー領域などに展開し、工場で活用を行う構想などはあるのでしょうか?
舘林「今回のショーケースでは、『マルチプラットフォーム化によりできること』を分かりやすくお伝えできるよう、あえてエンタメ領域での活用例を多くお見せしました。」
舘林「『オープンメタバースネットワーク』は、法人や自治体など、to be向けのメタバース需要を解決するためのものですので、仰っていた工場での体験なども含め、ご相談を受け付けています。」
舘林「我々4社が行うのは、『自治体さんがお客さんとの接点を作るためのもの』であったり、『XRを体験してもらうためのメタバース制作』など、to beへ向けたアプローチです。」
本城「私からもご回答します。弊社はメタバースプラットフォームの開発だけでなく、産業向けメタバースやXRソリューション開発の部署がございます。」
本城「そのため、先ほど仰っていた工場での活用など、産業のニーズが『オープンメタバースネットワーク』に産まれれば、ご提案が可能だと思っています。」
ーーありがとうございます。エンタメに強みのある会社様やインダストリー側に強みのある会社様、各々に強みをお持ちの会社様が集まったアライアンスであることが分かりました。
REALITY XR cloud株式会社 春山様(以下、春山と表記)「REALITY XR cloud株式会社の春山と申します。私たちはIT企業GREEのグループ会社でして、企業や自治体向け、いわゆるBtoB向けのメタバース空間やXR空間の制作を行っております。」
春山「弊社のスマートフォンアプリ『REALITY』は、人口の多いメタバース空間になっております。『オープンメタバースネットワーク』に『REALITY』を連携させることで、一緒に盛り上げていきたいと思っています。」