ゲーム、アニメ、コミック、映画… あらゆるメディアに向けてワンストップでコンテンツを制作! あまた株式会社代表・高橋氏が目指す未来と、そこに至るまでの不思議な経緯とは?-第7回
7回の連載に分けてお送りしている対談の最終回。『どこでもいっしょ』のディレクターから、オンラインゲームの運営、ガラケーのゲーム開発などを経て自ら起業!スマホからコンシューマー、VRゲームなどオールジャンルのゲームを開発するあまた株式会社が、映像、コミックなど、ゲーム以外のコンテンツを制作する理由や、その先にある未来の姿について、高橋社長に熱く語っていただきました。(聞き手:コンフィデンス取締役 竹下和広)
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第7回 - 「光のお父さん」はあらゆるタイミングが奇跡のように重なった作品!
高橋宏典(以下、高橋):そのポイントは、ゲームプレイヤーがフルコミットしているということもあります。テレビドラマで扱われるゲームの描かれ方ってゲームプレイヤーからすると適当なことが多いんですよね。それが「光の父さん」には嘘がなかった。お父さんが初心者だからこの装備ではじめて、何日後だから、レベルはこれぐらいだから、ここにいて、こういう装備をしているだろう。
ゲームプレイヤーから見ても嘘じゃない、リアルなプレイヤーが想像できるようなゲーム画面がちゃんと作り込まれていたんです。
ゲームをプレイしない人がドラマや映画でゲームを撮ると、ゲームプレイヤーはオタクで暗いとか、ステレオタイプな描かれ方をすることが多いのですが、そういうことも一切なく、普通のサラリーマンが家に帰ると「FF14」やってますよと、普通の描かれ方をしていた。
竹下和広(以下 竹下):息子との交流ですね。
高橋:そうです。親子の話というのも含めて、ゲームプレイヤーから見ても、しっかりとしたドラマに仕上がっています。また、オンラインゲームをプレイしたことのない人が見ても、興味が持てる内容になっていた。なので、ゲームプレイヤーの共感も得られたし、あの当時はドラマ放映に合わせて「FF14」のプレイヤーが凄く増えたと聞いています。
竹下:じゃあ、スクウェア・エニックスさんにとっても、良かったんですね。これが発端になるとは思うのですが、今でも新しい映像事業は仕込んでいますか?
高橋:同じくスクウェア・エニックスさんで、『ゆうべはお楽しみでしたね』という、漫画原作で「ドラゴンクエストXオンライン」が題材の、男女のラブコメディ作品と、「光の父さん」の劇場版をやらせていただいて、後はゲーム関連の版権としては、『荒野行動』を題材にした舞台のプロデュースというのもやらせていただいています。
竹下:へええ。
高橋:これは『荒野行動』のプレイヤーの群像劇になります。ゲームの中と外を行ったり来たりする、という感じのものです。
竹下:それも渋谷さんが?
高橋:はい、渋谷ですね。そして最新作がようやくゲームと関係なくて『年の差婚』という、MBSのドラマイズムで放送されたイケおじと若い女性の、20歳の年の差カップルの話で、「めちゃコミック」さんで連載してるオリジナルコミックのドラマ化を企画プロデュースさせてもらっています。「光のお父さん」とは全然反応のされ方が違うので、勉強になると渋谷が言ってました。
竹下:ゲーム化の話はないのですか?(笑)
高橋:「年の差婚」は女性向けの恋愛コミックなので、あまりゲーム化に向いている題材ではないですね。なぜプロデュースを引き受けたかといえば、ゲームに限らず、コンテンツ全般を手掛けていきたいというのがあって。めちゃコミックさんから相談を受けた時に、最初、渋谷は女性向けコミックの映像化が自分にできる気がしないとあまり乗り気ではなかったんですが、僕がやってみたらいいじゃない、と。でも、やってみたら大変に好評で。
「光の父さん」や「ゆうべはお楽しみでしたね」とかはゲームユーザーとクロスオーバーしているので、ツイッターとめっちゃ相性がいいわけですよ。
そういったゲームが題材のものと比べると、「歳の差婚」はツイッターのつぶやきはそれほど多くないんです。じゃあ、受けてないのかというと、見逃し配信アプリのTVerでは、深夜の30分ドラマなのに、2位とか3位とか、見逃し再生数がトップ5のところに一週間弱くらい、ずっと並んでいるんです。
女性向けの題材ということもあるのか、パーソナルなものとして楽しんで、ネットに発信するわけじゃないけど、けっこうな支持層がいるんだなと。これも実際に、めちゃコミさんからは、ドラマが放映された瞬間から、原作コミックが凄い閲覧されて売れています、大きな反響がありました、と聞いています。
竹下:各所で面白いことをやってるわけですね!
高橋:この辺をやっているのは、やはりコンテンツのIPをどこから作っていくかという時に、いろんな会社で働いてきて、全部同時にやろうとするじゃないですか。ゲームも作って、アニメも作って、コミックも同時展開して、で大爆死するものも多いな、と。
それって結局、あたり前ですけど、それではコアユーザーがどこにもいない。熱狂的な支持もないのに、目に触れる回数が多ければIPになるのかと。ゲームはゲームでIP立ち上げるには、今開発費が高騰しているなかで非常にリスキーですよね。ウチの会社はどこまで行っても制作会社なので、自分たちがすべてのお金を出してプロジェクトを作れるかといえば難しいですよね。
なので、いろいろな事業者の方とアライアンスを組みながら、どこを入口にして、どこを出口にしてもいいような体制が作れればと考えています。ドラマ化を起点に、これはゲームになりやすい題材ですねとなれば、ウチはゲームの開発部門がありますよ、というご提案ができます。
ゲームとアニメは親和性が高いので、今後はアニメも作れたらいいなと活動しています。でも、アニメとゲームって、業界が別なんですよね。
あまり人の行き来もありません。なので、お互いの業界スケジュールや制作工程をすり合わせて、トータルでハンドリングできるような経験とか知識とかを持っている人材や会社は少ないと思っていて。さきほどの「光のお父さん」のドラマ内のゲーム画面じゃないですけど、その両方のクリエイティブの仲立ちをするような人材が本当は必要なのに、業界にはほとんどいない、というのがあって。
ゲーム開発や映像制作といったバラバラの経験値を溜めながら、どこから来てもほかのメディアに持って行けるという、お手伝いが出来るようにしようとしている、と。
竹下:そろそろ時間が迫ってきました。これまで主軸の事業についてお話いただきましたが、最後に、今後の抱負というか、未来のビジョンをお聞かせください。
高橋:ゲーム自体はコロナでも、在宅の巣ごもり需要とマッチしていることもあり、全般に好調だったと思います。全世界的に見てもゲームって毎年成長を続けている好調な市場なので、引き続き力を入れていきたいと思っています。ただ、ゲームだけ作っていればいいのかとなると、先ほどもお話したように、映像とかVRとか、あとコミック制作なんかもチャレンジできたらいいなと思っています。
コンテンツをいろいろな形で作って、トータルプロデュースできるような制作会社として、あまりクロスオーバーして作っている会社もないと思うので、そういうところを何でもご相談に乗れるような会社にしていきたいなと思っています。
竹下:弊社としても御社の営業支援など出来る事も色々あると思うので今後も定期的にお話させて下さい。本日は、面白いお話しどうもありがとうございました!
竹下&バカタールのアフタートーク
加藤:『どこでもいっしょ』の誕生のきっかけにファミ通がちょっとだけ関係していたのは知らなかったです。
竹下:一世を風靡したタイトルで、いまでもソニーさんを代表する作品ですよね。
加藤:あと、飲みながら、バカ話しつつ、本音をぶつけるのって、やっぱり大事なんだよな、と思い出したり…。
竹下:確かにね。最近はコロナ禍でもあって、そういう機会は減っているでしょうね。
加藤:「光のお父さん」の話も、経緯はよく知らなかったので、なるほどな、と勉強になりました。
竹下:コンテンツのツボを見抜く力というか、急所を知る経験者の強みとかも、とても重要なポイントですね。
加藤:「年の差婚」にも絡んでいたとは!! 驚きでした。
竹下:あまたさんの今後がますます楽しみですね!
加藤:「年の差婚」VRを個人的に希望!
竹下:そっちかい!
あまた株式会社
代表取締役社長 高橋宏典
大学を卒業後、テクモに入社。その後ソニー・コンピュータエンタテインメント(当時)で『どこでもいっしょ』のディレクションを担当し、最年少プロデューサー(当時)に。その後フロム・ネットワークス、韓国でオンラインゲームのスタートアップ企業、キューエンタテイメント等を経たのち、株式会社たゆたうを起業。設立10年の節目に社名をあまた株式会社に変更、現在も代表取締役社長を務める。